不思議の国の広告
1993年初版というだいぶ昔の本ですが、尾辻克彦選の広告関係のエッセイ集。
尾辻克彦という人は、知らない人も多いかもしれませんが、トマソン・老人力などで知られる赤瀬川原平氏のペンネームです。(赤瀬川原平という名前もペンネームですが...)
著者が豪華、広告批評の天野祐吉、荒俣宏、南伸坊、糸井重里、中畑貴志、他。中身も、ちんどん屋さんの話から、3行広告の話やら、海外で見かけた日本的イメージの広告の話などどれも面白い話がいろいろです。
広告の仕事をやる人にとって特に役に立ちそうなのは、糸井さんの「『85点の言葉』の講座」というお話ですかね。非常に当たり前のことなんだけど、コミュニケーションの基本について、飲み屋や仕事場で若いおねーちゃんのお尻を触ることができる中年男性とか、おしりの穴に指を入れることとか、変な例えで語っています。
オシリをなでたいと、心から思っているあなたはオシリをなでることはできません。なでてから、ああヨカッタと、手にジーンとオシリの感触を感じてニコニコしてしまう人は永遠にオシリなで上手な人にはなれないのです。オシリをなでることなどなんともないと思えてしまった悲しい人だけが、世界中でオシリをなでています。あなたはオシリなで上手でないがゆえに、オシリをなでるというヨロコビをいまだ持っている幸多い人なのです。
(中略)
あらゆる言葉を平気で使ってしまえる人は、感動をなくしてしまった人です。コピーライターがある程度経験を積むと、プロっぽい言葉を使えるようになります。「めくるめくこの季節......」であるとか、「ソフィスケートされたあなたに......」であるとか、そういった言葉を使えば使うほど、その使っている人の思想は荒れてしまいます。つまり普通の人ではなくなるのです。幸せはどんどん売り渡されてしまい、人からの信用もなくしてしまいます。
(中略)
文章や言葉も、オシリなで上手な人にアコガレを持ってはいけない。これが人とコミュニケーションをはかるうえでいちばん大事なことなのではないでしょうか。
長いので中略しながら引用しましたが、こんな具合でのコミュニケーションについての話がいろいろとかかれています。ほとんど誰もが感じていて違和感を感じていることなんだけど、こうわかりやすく筋道だって説明されると、とてもすっきりして良いです。
おすすめ。
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